『C´est leur nom』
「・・・大人数だった割には、たいした事無かったな。」
野盗をあっという間に一掃して、褐色の男は不満げに呟いた。
大剣を背中のフォルダーにしまい、先ほど助けた金髪の青年に向き直る。
「大丈夫か?」
「あ、ありがとうございます。」
差し伸べられた手を取ると、褐色の男はいともたやすく引き上げる。
恐らく名のある剣士だろう。
掌に無数にある潰れた豆が、彼の戦歴を語っていた。
「ところでさ、近くの町までの道知らねぇ?」
「私も町に向かっているんですよ。」
宜しかったらご一緒しませんか?
と金髪の青年は白紙の紙を取り出した。
そしておもむろに、何か呪文を唱えだした。
「E´crivez les carrefours remplis du co^to´
re´dempteur de Dieu・・・。」
白紙の紙に、ゆっくりと線が浮かび上がる。
まるで炙り絵の様に、線は増えていく。
目の前に現れたのは、次の町までの地図。
「すげ・・・。アンタ魔法使い?」
「えぇ。」
「じゃあさっきの爆発音は・・・。」
「流石に人間に当てたくは無いので、威嚇に使いました。」
おや、一晩歩けば着きそうですね。
と金髪の青年は何食わぬ顔で続けた。
「行きましょうか。」
「お・・・おぅ。」
「俺は、『アーサー』っていうんだ。」
あ、そこ段差あるから。
と腕を引きながら、褐色の男は自己紹介をする。
「アーサー・・・もしかして、元騎士団の?」
「もう辞めたけどな。アンタは?」
「『フィリオ』と申します。」
「なんで旅を?」
「それは追々教えますよ。あ、見えましたよ!!」
アーサー フィリオ
高らかに咲き誇る薔薇
C'est leur nom
それが彼等の名前
〜A´
suivre〜