Argent month

『私は、沢山の紅いを見届けて来た。
私利私欲に溺れ、私の力を求め、他人を傷付ける様な人々を、
それこそ山の様に見て来た。

〜銀月の薔薇〜
私に与えられた、呪われた名前。
幾千も幾億も咲き乱れる花々の中で、私はこの力に選ばれてしまった。
最初こそ私の力は、何人(なんびと)も幸福に導ける、素晴しいモノだと思っていた。

だが私は、争いの渦に巻き込まれる運命(さだめ)なのだと
そう確信させられたのだ…。』

白銀の身を 欲に晒され
麗しの薔薇 花弁(かべん)を散らす
風そよぐ事も 許されずに
紅いの声 耳にしていた

数多の指が 薔薇を求めて
朽ちて逝くのを 守りきれない

望まないで 求めないで
無数の願い 叶え切れない
祈らないで 手折(たお)らないで
貴方の指を 傷付けたくない

『私の声は届かないまま、闇夜に咲いた鮮血にかき消される。
もう二度と戻らぬ命への鎮魂歌(レクイエム)すら、爪弾く事を許されない。
数多の願いを聞き入れて来た私の願いは、誰も耳を傾けてくれはしない…。』

鈴の音(ね)響く 蒼銀の夜
私の声に 彼は気付いた
汚れない眼も 私を知れば
彼の心に 陰(かげ)りを落とす

『私は、呪われている…。』

望まないで 求めないで
私の棘は 紅いを生む
祈らないで 手折(たお)らないで
貴方の想い 汚したくない

『純白の彼の指は、見るも無残に爛(ただ)れていく。
私の棘は流れを辿り、もう直ぐで彼の中枢部にたどり着くだろう。
やはり私の願いは、叶えられる事は無いのだろう…』

望まないで 求めないで
無数の願い 叶え切れない
祈らないで 手折(たお)らないで
貴方の指を 傷付けたくない

望まないで 求めないで
私の棘は 紅いを生む
祈らないで 手折(たお)らないで
貴方の想い 汚したくない

『〜銀月の薔薇〜
私に与えられた、呪われた名前。

この先も繰り返される、紅いの争いに咲いた
汚れた棘の花。』

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